2016年03月07日

口腔ケアで重要となる機能訓練、「パタカラ体操」の効果とは?

口の体操

近年、介護を必要とする高齢者の増加とともに、歯や口の中だけでなく、心身の健康にも関係する「口腔ケア」に注目が集まっています。

口腔ケアには、大きく分けて「口腔を清潔に保つためのケア」と「機能訓練のためのケア」がありますが、虫歯や歯周病を予防し、できるだけ自分の歯で噛める状態を維持する目的だけでなく、高齢者に多い「誤嚥(ごえん)」を防ぐためにも、口腔ケアは有効といわれています。

まずは毎食後の「歯みがき」から

口腔を清潔に保つケアの基本は「毎日の歯みがき」。介護が必要な状態にある高齢者の場合は、毎食後に歯をみがくのが理想的です。また、歯ブラシで取りきれない汚れや歯垢を取るため、歯間ブラシやフロスも活用するとよいでしょう。また、歯茎の炎症などを防ぐためにも、歯ブラシは適切な形状・硬さのものを選び、力任せにみがくことはやめましょう。

命にかかわる「誤嚥性肺炎」

また、食物が誤って気管や気管支に入ってしまう誤嚥は、高齢者の場合は命にかかわる「誤嚥性肺炎」につながる可能性があります。誤嚥性肺炎は、唾液や胃液とともに細菌が肺に入りこんでしまうために起こる病気ですが、高齢者の肺炎の70%には、なんらかの形で誤嚥が関係しているという報告もあります。

平成23年に厚生労働省がおこなった人口動態統計調査では、肺炎は日本人全体の死因の第3位となっていますが、年齢が上がるにつれて死因における肺炎の割合は大きくなり、90歳代の男性の死因では、肺炎によるものがもっとも多くなっています。

誤嚥を予防する「パタカラ体操」

誤嚥は、食べ物を上手く食べたり飲みこんだりすることができない「嚥下障害(えんげしょうがい)」が原因となって起きることが多いのですが、こうした嚥下障害を改善する機能訓練として有名なものに「パタカラ体操」があります。これは、加齢とともに衰えがちな、食べ物を喉の奥まで運ぶのに必要な口のまわりや舌の筋肉を鍛える体操で、デイサービスをはじめとする高齢者施設において、食事の前などに実践しているところも多くみられます。

パタカラ体操は「パ・タ・カ・ラ」の4つの音をできるだけ大きく口を動かしてはっきり発音するだけの簡単なエクササイズですが、この4つの音にはそれぞれ下記のような動作で、「食べる・飲みこむ」ことを訓練する意味合いがあります。

「パ」…唇をしっかり閉じて開く→食べ物を口の中に取り込む

「タ」…舌を上の前歯の裏にくっつけて離す→食べ物を口の奥に運ぶ

「カ」…喉の奥に力を入れて閉める→食べ物を食道に運ぶ

「ラ」…舌を丸め、上アゴにつける→食べ物を「ゴックン」と飲みこむ

パタカラ体操は、4つの音が持つ目的をしっかりと意識しながら、「パパパパパ・タタタタタ・カカカカカ・ラララララ」と何度か繰り返したり、「キラキラ星」や「チューリップ」のような簡単なメロディーの童謡の歌詞を、すべて「パ・タ・カ・ラ」に置き換えて歌ったりすることで、嚥下障害を改善し、誤嚥を予防する効果があるといわれています。

しっかり噛んでおいしく食べることは、体の健康だけでなく、生きる意欲にまで関わってくる行為です。すこしでも多く自分の歯を残し、高齢になっても食べることを楽しめるようにするためにも、お口の中を清潔に保ち、誤嚥による事故を防ぐ口腔ケアを暮らしのなかで心がけたいものですね。

▼参考資料

・高齢者が口腔ケアを怠ると、“義歯なし”で認知症リスクが2倍、転倒リスクは2.5倍にも!?歯の数が19本以下になると要注意! みんなの介護ニュース
http://www.minnanokaigo.com/news/N76222393/

・要介護高齢者の口腔ケア e-ヘルスネット(厚生労働省)
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-08-003.html

・誤嚥性肺炎 日本呼吸器学会
http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=11

・平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai11/kekka03.html

・パタカラ はじめてみよう!やってみよう!口腔ケア
http://www.kokucare.jp/training/training/pata/

介護ぱど運営事務局