2016年03月23日

「リロケーションダメージ」で認知症が悪化することも…介護移住で気をつけなければならない点とは?

並木道

高齢者が施設への入居などのため、これまで住み慣れた地域を離れ、新しい環境に移住する際に問題となるのが「リロケーションダメージ」です。

リロケーションダメージは、「移り住みの害」とも呼ばれ、生活環境の変化がストレスとなり、心身の健康を害してしまうことを指します。これは、環境の変化をきっかけに誰にでも起こりえる症状ですが、特に認知症患者や高齢者の場合は、なじみのない環境に置かれることで不安や混乱が高まってしまう可能性が強く、注意が必要といわれています。

特養へ入居するために介護移住をするケースも

核家族化が進んだ現代においては、進学や就職、結婚などを機に親元を離れ、そのまま両親と別々の地域に暮らす家族も増えています。しかし、親が高齢になるにつれて、介護や安全面のことを考えて、親と同居したり、親を近隣の施設に入居させるために呼び寄せるケースも少なくありません。

また、東京・名古屋・大阪の3大都市などでは、自治体が地域内に特別養護老人ホーム(特養)を十分に整備できず、隣接する他県などに用地を確保して特養を建設するケースもあり、こうした地域では「特養に入居するために、家族や住み慣れた地域を離れる」といった介護移住もおこなわれています。

住み慣れた地域を離れることのリスク

しかし、若い世代ならともかく、高齢者や認知症患者にとっては、住み慣れた地域を離れ、新たな環境に移ることが、思わぬ心身への負担となってしまうことも多く、家族や友人と離れることで「生きがい」を失ってしまうようなケースも見られます。こうした孤独や不安によるストレスが、移住をきっかけに認知症や「うつ」などの発症・悪化を招くリロケーションダメージとなってしまう可能性もあるのです。

リロケーションダメージにより、高齢者が心身の健康を害することを防ぐためには、新しい環境において、本人が安心できる居場所を作ることがとても重要となります。その際、これまで使い慣れた寝具や、お気に入りの小物などを新たな生活環境に持ち込むと「安心・リラックス」といった効果を発揮する場合がありますが、これは入院などで見知らぬ場所に長期滞在する際にも有効な対策です。

また、高齢者施設を選ぶ際には家族や友人が訪ねていきやすい場所を条件に入れて考えることや、自宅や近隣に高齢の家族を呼び寄せる際には、近くに「高齢者の居場所」となる施設や公園などがあるか事前にチェックしておくことも大切といえるでしょう。

 

▼参考資料
・リロケーションダメージ 〜呼び寄せ介護・介護移住の前に知っておきたいこと〜 介護のほんねニュース
http://news.kaigonohonne.com/article/997

・介護移住の弊害…「リロケーションダメージ」について知っておく みんなの介護ニュース
http://www.minnanokaigo.com/news/N00823105/

・近所に入れる施設なし!「介護移住」は得策か プレジデントオンライン
http://president.jp/articles/-/15160

 

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