2017年02月28日

介護福祉士の希望者が半減…実務者研修450時間が追加されたことも要因に

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近年、介護現場における人材不足が社会問題となっていますが、2017年2月には介護職員の4割ほどを占めるといわれる介護福祉士の希望者が激減していることが報じられました。

新聞各紙が報じたところによると、同年1月にあった介護福祉士の国家試験への申込者数は前年と比べて半数以下に減少。このように希望者が激減したおもな要因としては、2016年度から新たな受験資格として450時間の実務者研修が加わったことも指摘されています。

2016年度の受験申込者数は前年度の半数以下に

介護福祉士の国家試験は1年に1回で、1月に筆記試験、3月に実技試験がおこなわれ、受験申込者数は例年14万~16万人台といわれています。しかし朝日新聞が報じたところによると、2016年度の受験申込者数は7万9千113人と、2015年度の16万919人と比べて半数以下に減少したとのこと。

ちなみに同試験の合格率は例年6割程度といわれていますが、受験者数の減少の影響により、2016年度は新しく資格を得る人が大幅に減ることも懸念されているそうです。

最長半年の受講期間に加え、費用の自己負担も

介護福祉士の受験資格を得るにあたっては、2015年度までは無資格でも「3年以上の実務経験」があればこうした研修を受ける必要はなかったため、施設などで働いて経験を積むことがそのまま受験資格の取得につながっていましたが、2016年度からは介護技術に加え、たんの吸引法などの医療的ケアを養成施設で定められた時間学ばなければ試験を受けることができなくなりました。

また、この実務者研修を修了するためには最長で半年ほどの期間が必要といわれており、さらに勤務先の施設などから費用を補助してもらえない場合には10万~20万円とされている受講料も自己負担になるとのことです。

働きながら資格取得を目指す人のための施策が必要

冒頭にも述べたように、介護福祉士の受験申込者が激減した理由としては450時間の実務者研修が受験資格に追加されたことが指摘されていますが、これは「介護職員の資質向上」を目指して厚生労働省が2016年度から導入したもの。

また実務者研修の必須化には、介護福祉士の資質や地位の向上といった目標に加え、介護福祉士や介護職員も定められた研修を受けているなどの条件を満たしていれば、2011年度から「たんの吸引」や「胃ろう」といった医療行為をおこなうことができるようになったことも関係しているといえそうです。

たしかに上記のような医療行為をおこなうことを視野に入れると、介護福祉士の資格取得において医療ケアの研修は必要といえそうですが、施設などで働きながら資格を取ることを考えている人にとっては、実務者研修の必須化は、介護現場での日々の労働に加えて、研修に割く時間や体力、金銭といった負担を強いられるものになってしまう面もあります。

このたびの受験者数の減少について、厚生労働省は「原因を分析して対処法を考えたい」とコメントしていますが、過酷さが指摘されることも多い介護現場で働きながら資格取得を目指す人も多い介護福祉士だけに、希望者を増やすためには、より受験者の立場にたった施策が必要とされているのかもしれません。

▼参考資料
・介護福祉士、希望者が半減 受験資格に450時間の研修 朝日新聞デジタル
http://digital.asahi.com/articles/ASK2166R5K21UTFK01G.html?_requesturl=articles%2FASK2166R5K21UTFK01G.html&rm=680

・介護福祉士 出願者半減 「受験資格に研修義務」が要因 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20170127/ddm/002/040/140000c

・介護職員等の行う医療的ケア 島根県
http://www.pref.shimane.lg.jp/medical/fukushi/kourei/kaigo_hoken/kyo/iryoutekikea/

介護ぱど運営事務局