2017年06月12日

「現役並み所得」高齢者の自己負担が3割に…介護保険関連法の改正案が衆院で可決

年金手帳とお金

2017年4月18日、介護保険関連法の改正案が、衆議院本会議において自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数により可決したことが報じられました。

この改正案は参議院での審議を経て、今国会で成立する見通しとのことです。

「現役並み」所得の高齢者の介護サービス利用時の自己負担が3割に

今回の改正案の柱となっているのは、「現役並み」に所得があるとされる介護サービス利用者の自己負担の割合を3割に引き上げることといわれています。

すでに一部の利用者については、2015年8月から自己負担を2割に引き上げる施策がおこなわれていますが、今回の改正案では、1人世帯の場合は年金などによる年間の所得が340万円以上(年金収入のみの場合は344万円以上)、夫婦世帯の場合は年間所得が463万円以上の人の介護保険によるサービス利用時の自己負担が、現行の2割から3割に引き上げられることになります。ちなみに厚生労働省の資料によれば、介護保険の受給者全体の約3%にあたる約12万人が3割負担の対象になるとのこと。また介護サービス利用時の自己負担額については、月額4万4400円という上限も設けられることになっています。

自己負担の引き上げは2018年8月から実施予定に

上記のほかにも今回の改正案には、40歳~64歳の人が支払う介護保険料について、収入が高くなるにつれて負担額が増える「総報酬割」を段階的に導入することなどが盛り込まれています。

これらの案が衆院で可決する一方で、民進党が国会に提出していた「介護職員の平均給与を政府の措置からさらに1万円上乗せするための助成金制度」は、自民・公明両党などの反対多数により否決されたとのこと。なお今回衆院を通過した改正法による自己負担の引き上げは、2018年8月から実施される見通しとのことです。

自己負担増で「介護サービスが利用できなくなる」という人も

今回の介護保険関連法の改正案は、要介護者の「自立支援」「重度化防止」施策の推進が明確に打ち出された内容となっていますが、政府がこうした施策を推進する背景には、高齢化によって膨らみ続ける介護費用を抑制するねらいがあるといわれています。

しかしその一方で、介護サービスの自己負担増については、今後2割~3割負担の対象となる層が拡大していくことや、負担増によって必要なサービスを利用できない人が出てくることなども懸念されています。

厚生労働省は今回の改正案の審議中に、2015年8月に一部の利用者負担が2割に引き上げられた際に、特別養護老人ホーム(特養)などの介護保険施設を退所した2割負担者が全国に約1600人いたことを明らかにしたそうですが、こうした事態を避けるためにも、自己負担の引き上げに際しては「負担増により介護サービスの利用継続を断念する人」に対するケアをどのようにおこなうのかという議論が必要なのかもしれません。

▼参考資料
・自己負担引き上げへ 介護保険関連法案が衆院通過 NHKニュースWEB
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170418/k10010952671000.html

・介護法案、今国会成立へ 与党、衆院委で急きょ可決 現役並み所得の高齢者、自己負担3割に  日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO1524265012042017PP8000/

・地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案のポイント 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/193-06.pdf#search=%27%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E5%8C%85%E6%8B%AC%E3%82%B1%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%BC%B7%E5%8C%96%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E4%BF%9D%E9%99%BA%E6%B3%95%E7%AD%89%E3%81%AE%E4%B8%80%E9%83%A8%E3%82%92%E6%94%B9%E6%AD%A3%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B%E6%A1%88%27

・利用者負担上げ 「介護の社会化」は遠く 東京新聞(社説)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017042102000130.html

介護ぱど運営事務局