2017年07月03日

耳垢を掃除すると認知機能が改善?国立長寿医療センターが研究レポートを公表

麺棒

高齢者においては、「耳が遠くなる」ことが原因で会話などのコミュニケーションが困難になってしまう人も多く見られますが、一般的には、こうした聴力の低下は加齢が原因で起こる加齢性難聴(老人性難聴)によるものが多いといわれています。

ところが、2017年4月に国立長寿医療研究センターが発表した研究レポートによれば、高齢者の聴力の低下には「耳垢(みみあか)」も大きく関係しているとのことです。

耳垢が栓のように耳につまる「耳垢栓塞」

高齢者に限らず、耳垢が栓のように耳につまってしまった状態を耳垢栓塞(じこうせんそく)といいますが、これは病気ではなく、耳掃除を長期間おこなわなかった場合や、逆に綿棒などで耳垢を耳の奥に押し込んでしまった場合などに起こる耳の状態とのこと。

耳垢は体質によって、ねばねばした「湿性耳垢」とカサカサした「乾性耳垢」に分けられますが、耳垢栓塞は「湿性耳垢」の人や耳の小さい子ども、耳垢を排出する力の弱くなった高齢者などに起こりやすいともいわれているそうです。

アメリカでは耳垢栓塞を除去することで認知機能が改善したという報告も

ちなみに日本人には「乾性耳垢」の人が多く、黒人や白人においては「湿性耳垢」の人が多いといわれていますが、アメリカの高齢者施設でおこなわれた調査によれば、入所者の6割以上に上記の耳垢栓塞があることが確認され、耳垢栓塞を除去することで、聴力だけでなく認知機能も改善したことが報告されているとのこと。

上記の国立長寿医療研究センターではこうした報告をもとに、乾性耳垢の多い日本人では「どれぐらいの人に耳垢がつまっているのか」ということや、耳垢と聴力や認知機能の関連について調査をおこなったそうです。

その結果、高齢になるほど耳につまった耳垢で鼓膜が観察できない人が増加していることに加え、耳垢がつまっている人においては、年齢などの要因の影響を考慮しても、平均で7db(誰でも音の大きさの変化を感じるレベル)ほど聴力が悪くなっていることや、認知機能が低くなっていることが確認されたといいます。

難聴が認知症を発症する要因となることも

上記の調査では、耳掃除などの「耳のケア」が認知症や難聴の予防において重要な意味を持つことが確認されたといえますが、自分で耳かきをやり過ぎると、かえって耳垢を耳の奥に押し込んでしまったり、耳の中を傷つけてしまう可能性もあります。

また冒頭に述べた加齢性難聴は、60歳代後半では3人に1人、75歳以上では7割以上の人がなるといわれるほど多くの人に見られるものですが、こうした難聴で「耳が聴こえにくい」状態が長引くと認知症を発症する要因となることも指摘されているため、高齢者においては聴力の低下を感じた際に放置せず、すみやかに医療機関を受診して、原因の除去や治療、補聴器の適正な使用などをおこなうことが重要といえるでしょう。

▼参考資料
・耳垢(みみあか)と認知機能の意外な関係 国立長寿医療研究センター
http://www.ncgg.go.jp/cgss/department/ep/topics/topics_edit30.html

・難聴と思ったら 最新情報「加齢性難聴」 NHKきょうの健康
http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/archives/2017/03/0320.html

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