2017年10月18日

介護のストレス解消法と介護うつの症状

話し合い

介護をしていると日常の繰り返しや先が見えないあせりに、わかってはいても感情的になってしまうことがあります。介護の第一歩はできるだけ「知識」を増やし、どんな場面でも論理的にその原因と対応を考えること。知識は感情的になる心を抑制し、状況を客観的に判断できるようにする介護の強い味方です。正しい知識を得ることでストレスと上手に向き合っていきましょう。

介護ストレスとは?介護ストレスはなぜ起きるのか?

自宅介護のストレスはとくに介護にまだ不慣れな初期段階に強く感じます。介護生活に入ると毎日の食事、着替え、排泄の世話、入浴介助、通院など休む暇もなく用事があり、今までの自分の生活が一変してしまうからです。もちろん、肉体的にも精神的にも疲労こんぱいしますので、これまでに経験したことのない強いストレスに襲われる方も少なくありません。自分の時間が持てないことで気持ちが落ち込んでいき、次第に「介護うつ」の症状が出てくることもあります。

【原因1】一人で介護をしなければならない
・ 一緒に介護を分担できる家族がいない
・ 家族がいてもそれぞれの生活があって協力が得られない
・ 兄弟姉妹や親戚なども相談に乗ってくれない
・ 大変さを訴えても誰も親身になってくれない
・お金のかかる話になると兄弟が反対する

【原因2】介護を受ける方とのコミュニケーションが難しい
・ 一生懸命に介護しても「感謝」の気持ちが感じられない
・ 数分おきに同じことを言われてイライラが募ってしまう
・ 怒鳴ったり、ひどい言葉を浴びせられたりする
・ お金や物が無くなるという妄想が激しく疑いをかけてくる
・ 耳が遠いため常に大声で話さなければならない。

【原因3】自分の時間がまったく持てない
・ 介護のために仕事を辞めなければならなかった
・ 徘徊や事故が心配で一時も目を離せず、お風呂もゆっくり入れない
・ 留守にできないので友人との食事や集まりにも行けない
・ 自分の用事をしようと思ってもすぐに呼ばれる
・ 夜中も起こされるので十分な睡眠が取れない

「介護うつ」とは?

悩む男性

初期の段階での介護ストレスを放置しておくと、次第にそれが蓄積されて「介護うつ」を発症します。そういう正式名称があるわけではありませんが、介護はうつ病になるほど肉体的にも精神的にも負担が大きいということです。また、ほとんどの在宅介護者は介護の専門知識がないため、認知症患者のさまざまな症状がすべて自分の責任のように感じてしまいます。とくに近親者の介護の場合は「以前はあんなに明るかったのに」「排泄さえも自分で出来ないなんて情けない」などと、元気だった頃と比べて心が悲しさに支配されてしまうこともあります。そういったさまざまなストレスが積み重なり「介護うつ」に発展していくのです。

 「介護うつ」になりやすい人の特徴とは?

・責任感が強い
「自分を育ててくれた親なのだからしっかり恩返ししなければ」「家族に迷惑をかけずに私が頑張らねば」と、自分にすべての責任を負わせてしまい、他人に迷惑をかけるのが嫌で、なんでも自力でやろうと頑張りすぎてしまいます。

・ 真面目で几帳面
真面目なので介護に対しても全力で取り組もうとするタイプです。自分の生活よりも介護を優先させてしまい、さらに几帳面なので何でもきっちりやりこなそうとして自分を追い詰める傾向があります。

・ 完璧主義
完璧主義の人は「介護はこうあるべき」というルールを作り、それをやり遂げることにこだわります。他人のやることに満足できない面や、介護されている方との関係性にも完璧を求めるため、スムーズに行かないとストレスを溜め込んでしまいます。

介護うつの症状

介護うつには大きく分けて2つの症状があります。「精神的症状」と「身体的症状」です。以下のチェック表で、介護うつの傾向があるかどうか調べてみましょう。

・ 精神的症状
□ 気分の落ち込みが1ヶ月以上続いている
□ わけもなく不安やイライラを感じる
□ 人に会うのが面倒
□ 何をするのもおっくうで無気力になっている
□ 口数が少なくなった
□ 罪悪感が強くなり、なんでも自分の責任だと感じる
□ 喜怒哀楽の感情が薄らいでいる
□ 物事をすぐに悲観的に考える
□ 外見や服装がどうでもよくなっている
□ 思考力が低下してぼんやりすることが多い

・ 身体的症状
□ 熟睡できず夜中や早朝に目が覚める
□ いつも眠たくて、眠りすぎてしまうことがある
□ 頭痛、肩こり、腰痛がひどい
□ めまいがしてふらつく
□ 耳鳴りがする
□ わけもなく動悸がする
□ 食欲がない
□ 胃痛、腹痛が慢性的に起こる
□ 便秘や下痢がひどい
□ 何を食べてもおいしくない

ご自分や家族にこのような症状が複数あるときは、早めに専門の病院に相談することをオススメします。必ずしも介護うつとは限らず、更年期などが原因の場合もあるので、症状に合わせた処方を受けるようにしましょう。

介護ストレスの解消法

指さしする女性

上手な介護生活を送るためには、うつの原因にもなる介護ストレスを日常的に解消していくことが必要です。それにはある程度の医学的な知識を持ち、思い込みや感情に振り回されないよう、冷静に病気を受け止め対処していくこと。また、家族や身内の理解と協力がとても大切です。

●もっとも基本的な解消法は認知症の人の「行動法則」を理解すること!

介護が必要となる状況はさまざまですが、その多くが認知症の症状を伴います。認知症にはいくつかの特徴的な「行動法則」があり、それを知ることで介護ストレスはかなり軽減されます。ここでは、川崎幸クリニック院長・公益社団法人認知症の人と家族の会副代表理事の杉山孝博先生がまとめた「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」原案)をご紹介します。なぜそんな言動や行動をとるのかを理解すれば、介護の誤解や混乱が減り、上手な介護ができるようになるでしょう。

第1法則 : 記憶障害に関する法則
記銘力低下:話したことも見たことも行ったことも直後には忘れてしまうほどのひどい物忘れ。同じことを繰り返すのは毎回忘れてしまうため。
全体記憶の障害:食べたことなど体験したこと全体を忘れてしまう。
記憶の逆行性喪失:現在から過去にさかのぼって忘れていくのが特徴。昔の世界の戻っている。

第2法則 : 症状の出現強度に関する法則
より身近な者に対して認知症の症状がより強く出る

第3法則 : 自己有利の法則
自分にとって不利なことは認めない

第4法則 : まだら症状の法則
正常な部分と認知症として理解すべき部分とが混在する。初期から末期まで通してみられる。常識的な人だったらしないような言動をお年寄りがしてい るため周囲が混乱しているときには「認知症問題」が発生しているのだから、その原因になった言動は「認知症の症状」であるととらえる。

第5法則 : 感情残像の法則
言ったり、聞いたり、行ったことはすぐ忘れる(記銘力低下の特徴)が、感情は残像のように残る。理性の世界から感情の世界へ。

a.ほめる、感謝する
b.同情(相づちをうつ)
c.共感(「よかったね」を付け加える)
d.謝る、事実でなくても認める、嘘をつく(悪役を演じる俳優の気持ちで)

第6法則 : こだわりの法則
ひとつのことにいつまでもこだわり続ける。説得や否定はこだわりを強めるのみ。本人が安心できるようにもってゆくことが大切

a.そのままにしておく
b.第三者に登場してもらう
c.場面転換をする
d.地域の協力理解を得る
e.一手だけ先手を打つ
f.お年寄りの過去を知る
g.長期間は続かないと割り切る

第7法則 : 作用・反作用の法則
認知症の人に対して強く対応すると、強い反応が返ってきます。認知症の人と介護者の間に鏡を置いて、鏡に映った介護者の気持ちや状態が、認知症の人の状態です。

第8法則 :認知症症状の了解可能性に関する法則
老年期の知的機能低下の特性から全ての認知症の症状が理解・説明できる

第9法則 :衰弱の進行に関する法則
認知症の人の老化の速度は非常に速く、認知症になっていない人の約3倍のスピード。正常の高齢者の4年後の死亡率が28.4%であるのに、認知症高齢者の4年後の死亡率は83.2%(聖マリアンナ医大長谷川名誉教授の報告)。

介護に関する原則
認知症の人の形成している世界を理解し、大切にする。その世界と現実とのギャップを感じさせないようにする

出典:「公益社団法人認知症の人と家族の会」認知症をよく理解するための9大法則・1原則(http://www.alzheimer.or.jp/?page_id=2228

このように認知症には法則があることを知っておくと、自分の家族の症状だけが特殊なのではなく、一般的にそういう特徴があることがわかります。それは介護する上で気持ちを安定させることに大いに役立つと言えるでしょう。介護人が不安であるように認知症の方も不安という普通の感情を抱いていることを理解すると、根本的な発想が変わり、接し方にも変化が生まれるはずです。介護のストレスというのは「気持ちが伝わらない」「理不尽さを感じる」といったイライラや落ち込みが大きな要因。上記のような医学的な法則があることを前提に考えるようにすると、認知症は病気なのだという理解が深まり、割り切った介護ができるようになるのではないでしょうか。

●その他の介護ストレス解消法

・家族親戚の理解と協力を得る
介護をする人の数は多いほど介護が楽になります。兄弟姉妹はもちろん、親戚ともよく話しあって、みんなでできることを分担しましょう。両親に限らず、義理親や親戚など順番に巡ってくることですので、そのつどみんなが自分のできる力を持ち寄って協力しあうことが大切です。

・仲間を作り話しあえる相手を増やす
最近は高齢化が進み、多くのご家庭が介護の悩みを抱えるようになりました。これからは家に認知症の人がいることをご近所にも知ってもらい、地域ぐるみで介護を行っていく必要があります。また、一人で抱え込まず、同じ悩みを持つ仲間を持つなどして相談できる人間関係を作りましょう。

・旅行に行ったり趣味を持ったりする
一生懸命にやりすぎるあまり、自分のメンタルケアを犠牲にしてはいけません。たまには他の人にバトンタッチして小旅行に出てみたり、何か趣味を持ってそれに打込む時間を作ったりするのもいいですね。エネルギーを充電し、気持ちをリセットしましょう。

・介護サービスを上手に利用する
介護は家族だけで抱え込むのではなく、プロの力を借りることも時には必要です。どんなに協力しあっても、それぞれに仕事を持つ家族の時間調整は難しいもの。そんなときこそデイサービスやショートステイ、訪問ヘルパーなどを効率よく活用しましょう。専門の方の力を借りることで、介護の負担は大きく軽減されます。

介護する人の多くがぶつかる壁「介護ストレス」を上手に回避しよう

介護はその家庭ごとの状況によってさまざまな問題に直面しますが、家族はどんなことがあってもマイナス思考にならずに協力し合うことが大切です。そのためには一人に負担が集中しないように気を付けること、また、知識や情報を共有し合うことが必要です。そして何よりも、日々の小さなストレスを溜め込まずに、家族皆が快適に毎日を過ごすこと。それが、「介護うつ」にならないための一番の近道でもあります。無理をしているなと感じたらヘルプサインを出せるような環境を作り、必要に応じて介護サービスなども積極的に活用して気持ちの良い介護生活を過ごしていきたいですね。

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