2017年11月01日

【日常生活自立度】障害高齢者・認知症高齢者の要介護認定の指標とは?

高齢者夫婦

介護保険制度においては、日常的な介護や生活の支援を必要とする高齢者を要支援1~要介護5の7段階に区分して認定をおこないます。

これは介護保険による介護サービスを利用する際に必要となるものであり、区分によって受けられるサービスや保険が適用される限度額は異なります。そのため要介護(または要支援)の認定は高齢者の介護において重要な意味を持ちますが、この判定の際に指標となるのが日常生活自立度です。

日常生活自立度とは、身体の障害や認知症を持つ高齢者がどのぐらい自分の力で日々の生活をおくることができるか(=どれぐらい介護を必要とするか)を判定するものであり、心身の状態に応じて身体障害では4段階、認知症では7段階の区分けがおこなわれます。

障害高齢者の日常生活自立度とは?

介護保険制度では、病気やケガ、加齢などにより身体機能の低下した状態にある高齢者を障害高齢者と定義し、その日常生活自立度について下記のような区分を設けています。障害高齢者の日常生活支援度は寝たきり度とも呼ばれ、ランクJからランクCに進むほど状態は重くなります。

ランクJ(生活自立)
身体に何らかの障害があるが、日常生活ではほぼ自立しており、一人で外出できる状態。
<ランクJ1>電車やバスなどを使って、積極的に遠くまで外出する。
<ランクJ2>町内での買い物など近い場所へなら外出できる。

ランクA(準寝たきり)
屋内での日常生活(食事・トイレ・着替え)については自力でおこなうことができるが、外出時には介助を必要とする。
<ランクA1>介助によって外出し、日中はベッドから離れている時間が多い。
<ランクA2>日中はベッドから離れている時間が多いが、介助者がいてもあまり外出しない。

ランクB(寝たきり)
食事・トイレ・着替えのいずれかで介助を必要とし、1日の大半をベッドで過ごす。ただし、自力あるいは補助によって座位を保つことができる。
<ランクB1>介助なしで車いすに移乗でき、食事や排泄はベッドから離れておこなう。
<ランクB2>車いすへの移乗に介助を必要とし、食事や排泄にも援助が必要。

ランクC(寝たきり)
1日中をベッドで過ごし、食事・トイレ・着替えのすべてに介助を必要とする。
<ランクC1>自力で寝返りをうち、ベッド上で体勢を変えられる。
<ランクC2>自力では寝返りをうてない。

認知症高齢者の日常生活自立度とは?

杖を持つ手

一方、認知症の高齢者における日常生活自立度は、下記の7段階に分けられており、ランクⅠからランクⅣに進むほど症状は重くなっていきます。

ランクⅠ…何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している
物忘れや理解力の低下といった認知症の症状が多少見られたとしても、自宅で自立して生活できる状態。

ランクⅡ…日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる
<ランクⅡa>
たびたび道に迷ったり、買い物や金銭管理などでのミスが多かったりといった行動が外出時に見られる状態。
<ランクⅡb>
上記(ランクⅡa)の行動に加え「服薬の管理が一人ではできない」「電話の応対や訪問者の対応ができない」などの行動が家庭にいるときにも見られる状態。

ランクⅢ…日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さがときどき見られ、介護を必要とする
<ランクⅢa>着替えや食事、トイレなどが上手くできない(または時間がかかる)、徘徊や大声・奇声を上げるなどの行動がおもに日中にときどき見られる。
<ランクⅢb>
上記(ランクⅢb)の行動がおもに夜間にときどき見られる。

ランクⅣ…日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする
上記(ランクⅢ)の行動が日常的に頻繁に見られる状態。

ランクM…著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする
せん妄や妄想、興奮といった精神症状や自傷・他害など精神症状が原因となる問題行動が継続する状態。
※ランクMは、ランクⅠ~ランクⅣのいずれの区分の人もなる可能性がある一時的な状態であり、下記のような症状が見られる際には専門医の受診が必要となります。

日常生活自立度は「介護の大変さ」をあらわす指標でもある

ちなみに日常生活自立度は介護をする側から見ると、介護にどれぐらい手間や時間がかかるかという「介護の大変さ」をあらわす指標でもあります。

そのため、障害高齢者の場合は「日常生活のどんな場面で、どれぐらいの介助が必要か」という点に重点が置かれており、認知症高齢者の場合は「認知症による問題行動が(日中・夜間、屋外・家の中など)いつ、どこで起きているのか」という点を重視しているのも特徴です。

日常生活自立度を決める聞き取り調査の注意点

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通常、市区町村の窓口で要介護認定の申請をおこなうと、まず市区町村の認定調査員が利用者の自宅や入居している施設を訪問し、本人や家族に聞き取り調査をおこないます。この調査結果から、全国一律の基準により日常生活自立度のレベル付けがおこなわれ、その後はコンピューターによる一次判定、主治医による意見書作成、保健・医療・福祉の専門家によって構成される「介護認定審査会」による二次判定を経て、要介護状態の区分・認定がおこなわれます。

こうした流れを見ると、日常生活自立度を判定する聞き取り調査は、要介護(要支援)の認定を決める土台になるものといえそうです。なお、この聞き取り調査では「健康状態」「立つ・歩く・座る」「食事・着替え・トイレ」「記憶力・理解力」「認知症による問題行動」など、さまざまな項目についての質問がおこなわれます。ところが、初めて要介護認定の申請をおこなう人においては、聞き取り調査の際に、実際には「できない」ことを「できる」と言ってしまうなど、自分の状態を軽めに話してしまうケースも見られます。

たとえば脳梗塞を発症し、左半身に麻痺が残ったTさん(仮名・68歳男性)の場合。Tさんはもともと「障害者になるのはいやだ」といって、要介護認定の申請に消極的でした。それでもTさんは家族の説得により役所の窓口で申請をおこなったのですが、聞き取り調査のときになって、Tさんは実際は補助が必要な立ち上がりや歩行について「補助なしでできる」と言い張るなど、自分の症状を軽く見せるような言動を繰り返しました。その結果、Tさんに降りた認定は「要支援1」というもっとも軽いものになってしまったのです。

結局、Tさんはのちに本人や家族が生活にさまざまな不便を感じたことから、要介護認定の区分を見直してもらう区分変更の申請をおこなったのですが、その際に正直に現在の状態を伝えたところ、要介護認定は最初よりも2段階重い「要介護1」になったといいます。

適切な要介護認定を受けるために

高齢者のなかには「自分のことは自分でやらねば」という考えを持つ人も多く、上記のTさんのように、聞き取り調査の際にそうした気持ちが前面に出てしまうケースも見られます。これは障害高齢者に限らず、認知症の人の場合も同様です。

しかし現在の心身の状態を正確に伝えなかった場合、Tさんのように実際の状態よりも認定が軽くなってしまうケースや、要介護の認定を受けられないという事態が起こってしまう可能性もあります。これは、介護費用における自己負担分が高額になってしまったり、必要なサービスが受けられなかったりすることにつながるため注意が必要です。

日常生活に介助や支援が必要なことを「認めたくない」「恥ずかしい」というのは、高齢者の自尊心に関わるデリケートな問題ですが、本人が支障なく日常生活をおくるためだけでなく、家族の介護負担を減らす意味でも、要介護認定を申請する際には、事前に本人の日常生活のさまざまな場面における自立度を本人や家族がある程度把握しておくことが大切といえるでしょう。

▼参考資料
障害高齢者の日常生活自立度・認知症高齢者の日常生活自立度(調査項目も記載) 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000077382.pdf

▼参考記事
【要介護と要支援】認定の基準や受けられるサービスの違いは? 介護ぱど
https://p-kaigo.jp/news/17012.html

介護ぱど運営事務局