2018年01月03日

【介護保険3施設】特養・老健・介護療養病床…それぞれの違いと特徴は?

考える女性

高齢者が入居して介護サービスを受けられる施設には、公的なものから民間の企業が運営するものまでさまざまな種類がありますが、なかでも私たちにとって身近な存在といえるのが、介護保険制度上の施設サービスである介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護療養型医療施設の3つの施設です。

これらはまとめて介護保険3施設と呼ばれることもありますが、それぞれ施設の目的は異なり、受けられるケアやサービスにも違いがあります。

介護保険による施設サービスとは?

介護保険制度においては、要介護(または要支援)の認定を受けた65歳以上の高齢者は、定められた支給限度額の範囲内であれば、1割(※一定以上所得のある人は2割)の自己負担でさまざまな介護サービスを利用することができます。この介護保険による介護サービスは、大まかに居宅サービス施設サービスに分けられます。

居宅サービスは、その名のとおり自宅で生活しながら受けることができる介護サービスを指します。ただし、有料老人ホームや軽費老人ホーム(ケアハウス)などの施設に入居している場合でも、そこが居宅とみなされる場合には、介護保険による居宅サービスを利用できる場合もあります。おもな居宅サービスには、訪問介護(ホームヘルプサービス)訪問入浴介護訪問看護訪問リハビリテーションなどがありますが、居宅から施設に通ってリハビリや介護サービスを受ける通所リハビリ(デイケア)通所介護(デイサービス)、短期間施設に入居して介護サービスや機能訓練を受ける短期入所生活介護(ショートステイ)なども制度上は居宅サービスに含まれます。

指さしをする女性

一方、介護保険による施設サービス(介護保険施設)は下記の3種類となっています。これらの施設は介護保険法に基づき、都道府県知事の認可を受けて運営されています。

介護老人福祉施設…特別養護老人ホーム(特養)とも呼ばれる入居型の高齢者介護施設です。特養は日常的に介護が必要で自宅での生活が困難な高齢者が、長期にわたって介護サービスを受けながら生活していくための施設です。特養では、入浴や食事、トイレなど日常生活に必要な介助や健康管理、看護師による療養上の世話などのサービスが提供されるほか、非常勤の医師による定期的な診察などもおこなわれます。

また特養の入居期間は基本的に限定されておらず、終生にわたって住みつづけることが可能です。ただし特養はあくまでも生活のための施設という位置づけであるため、常勤の医師がいないケースがほとんどであり、胃ろうなどの専門的な医療行為が日常的に必要になった際には退去しなければならない場合もあります。

<入居条件>特養に入居できるのは原則として65歳以上で「要介護3」以上の認定を受けている高齢者と定められています。ただし要介護1~2でも、認知症や独居、老老介護などで自宅での生活が困難な人については、特例として入居が認められる場合もあります。

介護老人保健施設(老健)…病状が安定している要介護状態の高齢者が、リハビリを中心とした医療ケアや介護サービスを受けながら在宅生活への復帰を目指す施設です。老健は病院や診療所といった医療機関が母体となっている割合が高く、医師の常駐が義務づけられているほか、理学療法士や作業療法士といったリハビリの専門職が配置されているのが大きな特徴です。

また老健では30日以内の短期利用(ショートステイ)や、居宅から老健に通っておこなう通所リハビリ(デイケア)もおこなっているほか、認知症患者を対象とした短期集中リハビリテーションを実施している施設もあります。

<入居条件>老健に入居できるのは「要介護1」以上の認定を受けている65歳以上の高齢者であり、要支援の人は入居できません。また老健は基本的に「在宅復帰を目指す施設」であることから、3ヶ月ごとにおこなわれる審査で「退所が可能」と判定されると、施設側から退所を促される場合もあります。

介護療養型医療施設(介護療養病床)長期にわたる療養や医療ケアを必要とする人が入院するための施設であり、特養や老健よりも病状が重い人を対象としています。介護療養病床は病院などの医療機関内に設けられていることが多く、長期間にわたって医療ケアや看護、介護サービスが受けられるのが特徴ですが、政府は2018年3月で従来の介護療養病床を廃止する方針を打ち出しており、今後は「介護医療院」など新たな施設への転換が計画されています(2017年12月現在)。

<入居条件>介護療養病床に入院できるのは、原則として「要介護1」以上の認定を受けている65歳以上の高齢者で、長期間にわたる医学的な管理や療養を必要とする人となっています。ただし2012年以降は介護療養病床の新設が認められていないことから、同施設は減少の一途をたどっており、空きベッドは少ない状況です。

介護保険施設のメリットとデメリット

介護保険施設のメリットとしては、入居一時金などの初期費用がかからず、月々にかかる費用も民間施設と比べて安く抑えられる点があげられます。また施設のタイプや利用者の状態によって費用に差はあるものの、全国一律の利用料金の目安を国が定めていることや、高額介護サービス費(※1)負担限度額認定(※2)といった、利用者の所得に応じて負担を軽減する制度が用意されていることも介護保険施設の大きな特徴といえるでしょう。

メリットデメリット

逆に介護保険施設のデメリットとしては、入居できるのが要介護認定を受けている人に限定されている点や、部屋やベッドに空きが無い場合には、申し込みをしてから入居するまでに数ヶ月からときには数年も入居を待たなければならない入居待ちの問題などがあげられます。近年では、入居条件が「原則として要介護3以上」に厳格化されたこともあり、特養への入居希望者は減少傾向にありますが、高齢者の多い地域などでは依然として特養の人気は高く、2016年4月の時点では全国に約36万6千人の特養への入居を待つ高齢者がいたことも報告されています。

また介護保険3施設の部屋のタイプは、2~4人が相部屋となる多床室や個室などいくつかの種類がありますが、介護療養病床においてはその多くが多床室であるほか、特養や老健においても費用を安く抑えようとすると、個室よりも多床室を選ばざるを得ないのが実情です。しかし、こうした相部屋で長期間にわたって暮らしていくことが、共同生活が苦手な人にとってはストレスの原因になってしまう場合もあります。

※1高額介護サービス費…月々の介護サービス費における自己負担額が所得に応じて設定された上限額を超えた際に、超えた分の金額が介護保険から支給される制度。

※2負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)…介護保険施設の入居者のうち所得や資産等が一定以下の人に対して、定められた負担限度額を超えた分の居住費と食費の負担額が介護保険から支給される制度。

幅広い選択肢の中から施設を選ぶことも大切

介護保険3施設の特徴を大まかにまとめると、特養は「介護に重きを置いた生活のための施設」、老健は「リハビリを重視した在宅復帰をサポートする施設」、介護療養病床は「介護もおこなう医療施設」ということができます。そのため施設を選ぶ際には、入居する人が「どのようなケアやサービスを必要としているのか?」をしっかり把握しておくことが重要となります。

特に医療行為やリハビリについては家族だけで判断するのが難しいため、主治医や医療機関のケースワーカーと相談した上で、入居する施設を決めることが大切です。また特養の入居待ちへの対策としては、特養の空きが出るのを待っている期間に、老健や有料老人ホームに入居するという方法もあります。こうした入居待ち期間の介護については、まずはケアマネジャー(介護支援専門員)に相談してみましょう。

近年では介護保険施設においても、リビングなどの共有スペースを併設したユニット型個室など、快適さやプライバシーを重視した施設が増えてきています。ただし、こうした居室は従来型の多床室と比べて部屋代が高額に設定されているため、月々の費用が割高になってしまうのが難点といえます。その一方で、最近では有料老人ホームにも入居一時金が不要の施設や、月々の利用料が比較的安い施設が出てきています。民間の事業者が運営するこうした有料老人ホームでは、利用者を増やすためのさまざまな工夫がおこなわれており、居室の種類や食事のメニュー、レクリエーションやイベントといった娯楽まで、施設によって多種多様なサービスが用意されている点が、介護保健施設との大きな違いといえるでしょう。

公的な介護保険施設と民間の施設を単純に比較することはできませんが、介護施設を選ぶ際には、費用や利用者の健康状態だけでなく、住環境や利用者の好み・性格などにも可能な限り配慮することが大切といえます。こうした点を考えると、介護保険3施設に加えて、有料老人ホームやグループホーム(認知症対応型共同生活介護)といった民間の施設の情報も収集し、幅広い選択肢の中から利用者に合った施設を選ぶことが、「利用者が快適に暮らしていける施設」を探すコツといえるかもしれませんね。

▼参考資料
・介護保険3施設の概要 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken15/dl/zimu11-1-1.pdf

・サービスにかかる利用料 厚生労働省
http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html

・介護保険 施設サービス 公益財団法人 東京都福祉保健財団
http://www.fukunavi.or.jp/fukunavi/controller?cmd=sbr&actionID=jgytik&SVCCBR_CD=001

・  特養待機者36.6万人に減少 入居要件厳格化が影響か 朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASK3W3RXBK3WUTFK004.html

介護ぱど運営事務局