2018年01月10日

【サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と有料老人ホーム】それぞれの違いと特徴は?

高齢者夫婦

近年、国内で急速に増加しているサービス付き高齢者向け住宅

サ高住と略して呼ばれることも多いサービス付き高齢者向け住宅ですが、その数はこの5年間で約2.5倍に増え、2017年11月の時点では全国に6,843棟(22万4,208戸)の施設が登録されているとのことです。その一方で、サ高住のシステムや提供されるサービスの内容についてはあまり知られておらず、有料老人ホームとの区別がつきにくいのも実情です。

ここでは、サ高住と有料老人ホームの違いやそれぞれの特徴、サ高住を選ぶ際の注意点などについて解説していきます。

「介護施設」と「住宅」の違い

有料老人ホームは、老人福祉法によって定められた介護施設の総称であり、その管轄は厚生労働省に委ねられています。有料老人ホームでは「食事」「介護」「家事」「健康管理」などのサービスが提供されますが、設置にあたっては都道府県知事などへの届出が義務づけられています。

また有料老人ホームはおもに、施設のスタッフによって介護サービスが提供される「介護付き」と、介護が必要になった際には訪問介護や通所介護など外部の介護サービスを利用する「住宅型」の2種類に分けられます。上記の2種類以外にも、自立して生活できる高齢者のみを対象とした「健康型」と呼ばれる有料老人ホームもありますが、その数は非常に少なく、設置されている地域も限られているため、やや特殊な形態の施設といえるでしょう。

一方、サ高住は高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)に基づいて整備が促進されている、高齢者の暮らしを支援するサービスの付いたバリアフリー住宅の総称です。サ高住は介護施設ではなく、あくまで賃貸住宅という位置づけであるため、その管轄も国土交通省と厚生労働省の両者にまたがっています。

またサ高住には国による登録制度があり、事業者は定められた基準を満たした住宅を都道府県や中核市、政令市の窓口で登録することによって「サービス付き高齢者向け住宅」の名称を使用することができます。なお登録された物件の情報は、公的な情報提供システムなどを通じて高齢者向けの住宅を探す人々に対して公開されます。

サービス付き高齢者向け住宅 情報提供システム
http://www.satsuki-jutaku.jp/

有料老人ホームとサ高住における設備やサービスの違い

チェックリスト

有料老人ホームにおける介護サービスの提供方法は下記のように分類されます。

・介護付き有料老人ホーム…「居室などの建物設備」「家事・見守りなどの生活支援」「介護」という3つのサービスが同じ施設から一体的に提供される。

・住宅型有料老人ホーム…「建物設備」と「生活支援」のサービスは同じ施設から提供されるが、「介護」のサービスについては、利用者が外部の事業者と別途契約をして提供を受ける。

・健康型有料老人ホーム…「建物設備」と「生活支援」は施設で提供されるが、介護が必要になった場合には退去しなければならない(ただし要支援の高齢者を受け入れている施設や、介護が必要になった場合は同系列の介護付き有料老人ホームに移れる施設もあり)。

一方、サ高住の登録を都道府県などの窓口で申請するには、下記の4つの基準を満たしている必要があります。

1.原則25平方メートル以上の居室(個人の専用スペース)
2.バリアフリー構造
3.見守りなどの安否確認サービス
4.生活相談サービス

まず1の居室の広さですが、有料老人ホームにおいて定められている専用スペースの広さ(床面積)は13平方メートル以上なので、サ高住の基準は広めに設定されているといえます。ただし、サ高住の登録基準は「十分な広さの居間・食堂・台所・浴室等の共用スペースがある場合は18平方メートル以上でも可」ともなっているため、実際は専用部分の床面積が25平方メートル以下の施設が7割以上という報告もあります。

また、サ高住の登録基準に定められているサービスは「安否確認」と「生活相談」の2種類のみであるため、入居者は介護や生活支援のサービスが必要になった際には、外部の事業者と契約しなければならないケースも多いようです。ちなみに高齢者住宅研究所が2016年におこなった調査によれば、調査の対象となったほぼすべての施設(96%)が「食事の提供」のサービスをおこなっているのに対して、「入浴などの介護」や「調理などの家事」のサービスを提供している施設は約半数にとどまっていたとのことです(介護46%、家事50%)。

また、多くのサ高住は同じ敷地内や近隣に訪問介護などの事業所を設置しており、医療機関を併設しているケースも多く見られます。これは入居者にとって安心な要素といえますが、その一方でサ高住においては、契約の複雑化事業者による「囲い込み」(※)などの問題も指摘されています。

※囲い込み…事業者が指定した事業所(サ高住と同系列の事業所など)のサービスしか利用者に使わせないようにすること。利益を上げるため、事業者が不要な介護サービスを過剰に利用者に使わせている例も報告されて問題となった。

サ高住の入居にかかる費用は?

サ高住への入居時には、通常の賃貸住宅とおなじく敷金が必要となります。それ以外に必要な費用は月々に支払う家賃とさまざまなサービス費ですが、ごく一部に有料老人ホームのように、まとまった家賃を前払いする方式を採用しているところもあります。

厚生労働省の資料によれば、サ高住の月額料金の平均は約14万円(家賃・共益費・基本サービス相当費・食費・光水熱費の合計)であり、そのうち家賃部分のみの平均額は約6万円とのことです。これは同資料による有料老人ホームの平均月額(約19万円)と比べて割安な金額といえます。ただし、上にも述べたようにサ高住の場合は、住居や食事、介護サービスなどについてそれぞれ別の事業者と契約するケースも多いため、あらかじめトータルで月々いくらぐらいの費用がかかるのかを確認しておくことが重要となります。

契約方式にも違いが

さらにサ高住と有料老人ホームでは、その契約方式に大きな違いがあります。

多くの有料老人ホームでは利用権方式といわれる契約形態を採用していますが、これは想定される期間に施設を利用する権利を、全額(または一部)前払いして購入する方式ということができます。その一方で、サ高住では一般的な賃貸住宅と同じ月払いの貸借権(建物貸借権)方式を採用しているケースがほとんどです。

また有料老人ホームにおいては、その契約内容によって建物内で居室を移動する可能性がありますが、サ高住の建物貸借権には「同じ居室に住みつづける」権利も含まれているため基本的に居室の移動はありません。ただしなかには賃借権方式を採用している有料老人ホームや、利用権方式を採用しているサ高住もあります。

サービスやシステムだけでなく、運営母体についても確認を

調査する

サ高住の登録制度がスタートしたのは2011年のことですが、新築や改修に国から補助金が支給されることや、有料老人ホームなどの介護施設に比べて新規参入が容易なことなどを背景に、現在も各地で多くの施設が整備されている状況です。制度がスタートした当初は「(要介護状態になる前の)早めの住み替え」のための住宅として想定されていたサ高住ですが、2014年にはサ高住の入居者の9割近く(88%)が要介護または要支援の認定を受けており、3割以上(31%)が「要介護3以上」の高齢者という実態も報告されています。

ある程度自立して生活できる高齢者にとっては、共同生活のわずらわしさが少なく、見守りや生活相談のサービスを受けられるサ高住は魅力的といえますが、介護や生活上の支援が必要な高齢者が入居する場合は、どのような外部のサービスを受けられるのかという点について事前にしっかりと確認しておく必要があります。

またサ高住の運営母体は社会福祉法人や医療法人などさまざまであり、なかでも株式会社のような民間企業による運営が極めて多いのも特徴です。2016年には、サ高住の急な廃業により入居者が転居を余儀なくされる事例も報じられましたが、こうした事態を防ぐためにも、サ高住への入居を検討する際にはサービス内容やシステムだけでなく、運営母体の信頼性もチェックしておくことが大切といえるでしょう。

▼参考資料
・有料老人ホームとサ高住の違い(1) 独立行政法人 国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201512_05.pdf

・サービス付き高齢者向け住宅の経営 一般社団法人 サービス付き高齢者向け住宅協会
http://www.koreisha.jp/service/dl/setsumeikai/data04.pdf

・<サービス付き高齢者住宅>制度5年 利用者、想定とずれ 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20161019/ddm/016/100/023000c

・サービス付き高齢者向け住宅等の月額利用料金 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000102200.pdf

介護ぱど運営事務局