2018年05月09日

【よいケアマネジャーを選ぶにはどうすればいい?】在宅介護における役割や変更方法について

色鉛筆と吹き出し

要介護者にとって必要な介護の計画(ケアプラン)を作成し、介護事業者や市区町村との調整をおこなうケアマネジャー(介護支援専門員)

ケアマネジャーは介護を受ける人やその家族にとって、介護についてのもっとも身近な相談相手といえる存在です。ここでは在宅介護におけるケアマネジャーの役割や、よいケアマネジャーの選び方などについて解説していきます。

ケアマネジャーとは

ケアマネジャーは介護保険法で規定された専門職です。ケアマネジャーの資格を取得するには、下記のいずれかの要件を満たしたうえで介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、計87時間の実務研修を受ける必要があります(2018年現在)。

・指定された国家資格(法定資格)を取得しており、介護の実務経験が5年以上(通算900日以上)あること
・介護施設や福祉施設、障害者施設における相談援助業務の実務経験が5年以上(通算900日以上)あること

条件にある「指定された国家資格」には、介護福祉士をはじめとして、理学療法士や作業療法士といったリハビリの専門職、医師や看護師、保健師などがあてはまりますが、基本的にケアマネジャーの資格は福祉や保健、医療の現場で相談や援助の実務経験を積んだ人が取得するものと考えてよいでしょう。

どんなサポートをしてくれるの?

指さしする女性

ケアマネジャーがおこなう業務には下記のようなものがあります。

・要介護・要支援認定の申請サポート
公的な介護保険による介護サービスを利用するには、要介護または要支援の認定を受ける必要があります。この申請は市区町村の窓口でおこないますが、ケアマネジャーに代行して申請してもらうことも可能です。

・ケアプランの作成
要介護(または要支援)の認定がおこなわれたら、ケアマネジャーは介護サービスの利用者や家族と相談しながら、介護の計画書であるケアプラン(要支援の人は介護予防ケアプラン)を作成します。このケアプランは介護サービスを利用する本人や家族が作成することも可能ですが、介護に関する専門的な知識を必要とするため、通常はケアマネジャーに作成を依頼するケースがほとんどです。

ちなみに要介護の人が自宅で介護を受けながら生活する場合、居宅サービス計画というケアプランを作成することになりますが、この計画書には本人の状況や目標にあわせて、自宅でどのような介護サービスを利用していくかということが記載されています。

また、要支援認定を受けている人については介護予防サービス計画、介護保険による施設サービス(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護型療養病床)を利用している人については施設サービス計画というケアプランを、それぞれケアマネジャーが作成します。なお、ケアプラン作成の料金については介護保険から全額が支払われるため、利用者の自己負担はありません

・介護サービスの手配・調整
ケアプランが作成されると、ケアマネジャーはサービスを提供する事業者や市区町村と連絡を取り、利用者が適切な介護サービスを受けられるように手配・調整をおこないます。また利用者の健康状態や要介護度に変化があった場合は、利用する(利用できる)介護サービスの内容も変化するため、ケアマネジャーはその都度ケアプランを作り直すことになります。

・給付管理
介護保険制度では、要介護度によって保険が適用される範囲や保険内で利用できるサービスが異なります。そのため、利用者の健康状態や経済的な状況にあわせて、介護保険が適用される1割(一定以上の所得がある人は2割)の自己負担の範囲内で、可能な限り適切なサービスが利用できるようにケアプランを作成することは、ケアマネジャーの重要な仕事となります。

またケアマネジャーは、こうしたケアプランの利用計画書どおりに事業者が介護サービスを提供したかどうかを確認し、サービスを提供した事業者が介護給付費(利用者の自己負担分を除くサービスの利用料)を受ける際に必要な書類を作成して、国民健康保険団体連合会に送付する給付管理もおこないます。

ケアマネジャーを選ぶ際のポイント

ケアマネジャーを探す際には、まず市区町村の窓口地域包括支援センターで、居住している地域の居宅介護支援事業所を紹介してもらうのが一般的です。在宅での介護に携わるケアマネジャーの多くは、この居宅介護事業所に所属していますが、事業所を選ぶ際には自宅から近いところを選ぶことも大切となります。これは事業所の所在地が自宅から遠いと、緊急時などに迅速な対応をしてもらいにくいためです。

また事業所に問い合わせをおこなった際の対応も、事業所を選ぶ際の重要なポイントとなります。いくら自宅から近いとはいえ、電話で問い合わせをした際に不親切な応対をするような事業所はNGといえますし、一方的に先方の都合や方針ばかりを押しつけてくるような事業所も困りものです。居宅介護支援事業所を選ぶことはケアマネジャー探しの第一歩といえますが、その際は問い合わせのときに「キチンとこちらの話を聞いてくれる」「こちらからの質問に丁寧に答えてくれる」事業所を選択することが大切といえるでしょう。

なお、ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所は、老人ホームやデイサービスといった他の施設も運営しているケースが多いことから、ケアプランを作成する際に、自分が所属している事業所の系列の介護サービスばかり勧めてくるケアマネジャーもいます。こうした場合、ケアマネジャーが勧めてくるサービスや事業所が利用者のニーズに合っていれば問題はありませんが、希望に沿わないサービスを強引に勧めてくるケアマネジャーは避けたほうがよいといえるでしょう。なかには事業所自体がこうした方針を取っているケースもありますが、よいケアマネジャーを選ぶひとつの基準として、自分が所属している事業所のグループ外の介護サービスもキチンと紹介してくれることもあげられます。

さらにケアマネジャーには、たとえば介護福祉士として介護に長く携わった人なら介護・福祉、看護師ならば医療、理学療法士や作業療法士の資格を持つ人ならばリハビリといったようにそれぞれの経験に応じた得意分野があります。そのため利用者においては、自分に必要なケアの種類を把握しておくことや、自分のニーズに合った得意分野を持つケアマネジャーを選ぶことも大切といえるでしょう。

ちなみに上記の地域包括支援センターには、地域のケアマネジャーのまとめ役である主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)が在駐しています。この主任ケアマネジャーは、担当している地域のケアマネジャーや事業所について把握しているケースも多いため、自分に合ったケアマネジャーを探す場合、地域包括支援センターの窓口で「どのようなケアマネジャーを希望するか」を伝えた上で、おすすめの事業所やケアマネジャーを尋ねてみる方法もあります。

ケアマネジャーと合わないと感じたら

悩む女性

利用者の状況を把握するための月に1度(要支援の人の場合は3ヶ月に1度)の居宅訪問など、介護サービスを利用する人はケアマネジャーと顔を合わせる機会が何かと多くなります。こうしたことから、利用者とケアマネジャーの相性はとても重要といえます。しかし、ケアマネジャーの仕事ぶりや人柄がどうしても自分に合わないと感じた場合や、担当ケアマネジャーの専門分野が利用者のニーズと合っていないと思った場合には、ケアマネジャーはいつでも変更することができます。

ケアマネジャーを変更するには下記の3つのやり方があります。

・ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所に変更を申し入れる
・現在のケアマネジャーが所属する事業所とは別の居宅介護支援事業所に、ケアマネジャー変更の相談をする
・地域包括支援センターや市区町村の窓口にケアマネジャー変更の相談をする

ケアマネジャーを変更する場合、どの方法が適切かはそれぞれの事情や状況によって異なりますが、変更を申し出る際は「なぜケアマネジャーを変更したいのか」という理由や、次のケアマネジャーに対する要望をきちんと伝えることも大切といえるでしょう。

よいケアマネジャーと長くつきあうために

厚生労働省が2017年におこなった「介護事業経営実態調査」では、居宅介護支援事業所の実利用者数の平均が83.9人なのに対して、所属している介護支援専門員の平均数(※常勤換算)は2.4人と、ケアマネジャー1人あたり約35人の利用者を担当している現状が報告されています。在宅で介護サービスを利用する人にとって、ケアマネジャーは「適切な介護を受けられるかどうか」を左右する重要な存在といえますが、こうした調査結果からは、ケアマネジャーが多くの利用者のあいだを走り回る、非常に多忙な仕事であることも伺えます。

ケアマネジャーと上手につきあうコツとしては、わからないことや不安なことはすぐに質問することや、些細な変化でも利用者の状況を詳しく伝えることなどがあげられますが、それに加えてケアマネジャーが「忙しい人」であることを利用者側が理解しておくことも大切といえます。

これは決してケアマネジャーに対して遠慮をするということではなく、たとえば利用者の状況や要望を事前にまとめておくなど、利用者側がケアマネジャーとの話し合いがスムーズにいくように準備をしたり、ケアマネジャーを「便利屋」のように扱わないように気をつけたりすることを意味しています。このように相手に対する気遣いを忘れず、自分の要望はしっかり伝えるようにすることも、よいケアマネジャーと長くつきあっていくコツといえるかもしれません。

※事業所などで働いている人の平均人数について、常勤職員の人数+(非常勤職員の勤務時間の合計÷常勤職員が勤務するべき時間)で算出する方法。

▼参考資料
・介護支援専門員 社会福祉法人 全国社会福祉協議会
http://www.shakyo.or.jp/guide/shikaku/setsumei/04.html

・介護支援専門員実務研修受講試験について 社会福祉法人 広島県社会福祉協議会
https://www.hiroshima-fukushi.net/k-center/care-manager/overview/p3

・居宅介護支援事業所のサービスについて 社会福祉法人 ラポール会
http://www.rapport-kuminoki.jp/service_kyotaku.html

・主任ケアマネジャーとは 一般社団法人 札幌市介護支援専門員連絡協議会
http://sapporo-cmrenkyo.jp/care03.html

・平成29年度介護事業経営実態調査結果(各サービス別総括表) 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jittai17/dl/h29_soukatu.pdf

介護ぱど運営事務局