2018年05月30日

【夫婦での老人ホーム入居】入居できる施設・できない施設は?2人入居の際の費用や注意点について

高齢者夫婦

近年、中高年の人たちから「老後は夫婦で老人ホームに入りたい」という声をよく聞くようになりました。

しかし、夫婦での老人ホーム入居については、適した施設と適さない施設があるのも実情です。ここでは夫婦で入居できる高齢者施設や高齢者向け住宅の詳細と、夫婦で施設に入居した際の費用、注意点などについて解説していきます。

公的な老人ホームへの「夫婦入居」は難しい

公的な老人ホームである特別養護老人ホーム(特養)は、費用が安く抑えられることもあり人気の高い施設です。

しかし、特養の入居条件は原則として「要介護3以上」と定められているため、夫婦で入居するためには、夫婦2人とも「要介護3以上」の認定を受けている必要があります(認知症や家族からの虐待などで在宅での生活が難しい場合を除く)。また、特養の居室は原則として2人~4人程度の相部屋(多床室)か1人用の個室となっているため、「夫婦2人で同じ居室」という形での入居に対応しているとはいえません。

さらに、たとえ夫婦が別々の居室であったとしても、特養は人気が高く空きが出にくい施設であることに加え、おもに要介護度の重さによって入居の優先順位が決まるため、夫婦が同時に入居することは難しいといえるでしょう。

なお、特養とおなじ介護保険による施設サービスである介護老人保健施設(老健)も公的な老人ホームに分類されることがありますが、老健は病気やケガなどで病院から退院した高齢者が、リハビリをおこないながら在宅への復帰を目指す施設という位置づけであるため、夫婦が「生活の場」として入居することは想定されていません。

有料老人ホームなら夫婦で入居できる?

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一方、民間の有料老人ホームであれば、施設によって受け入れ体制に違いはあるものの、夫婦で入居できる可能性はかなり高くなります。

有料老人ホームの入居基準は施設によって異なりますが、介護サービスを提供する介護付き有料老人ホームであれば、契約時に満65歳以上であることや「要介護認定を受けていること」を入居の条件としている施設が多いようです。一方、介護サービスを提供しない住宅型有料老人ホームの場合、「ある程度自立して生活ができる」「満60歳以上」などが入居条件となります。また、住宅型有料老人ホームであっても、外部の事業所と契約することで介護サービスが受けられる場合もあります。なお、有料老人ホームについては、要介護度だけでなく認知症の有無や度合いが入居の可否に関わる場合もあるため注意が必要です。

有料老人ホームの場合、夫婦の双方がこうした条件を満たしていれば、一緒におなじ施設に入居することが可能となりますが、夫婦が同室に入居することについては施設や入居者の状態によって可否が分かれます。たとえば、老人ホームでは要介護度や認知症の有無によって部屋やフロアを分けているケースが多いため、夫婦で要介護度に大きく差がある場合、同じ部屋に入居できない場合もあります。また最近では、居室に独立したキッチンなどを備えた夫婦部屋のある有料老人ホームも出てきていますが、こうした部屋の人気は高く、需要に供給が追いついていない面があるため、地域や費用などの条件によっては空き部屋がなかなか見つかりにくいのも実情です。

サービス付き高齢者向け住宅とケアハウス

また、高齢者向けの住宅として2011年から整備が進められているサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)も、比較的夫婦2人で入居しやすい施設といえます。

サ高住はバリアフリー構造安否確認・生活相談などのサービスを備えた賃貸住宅であり、近年では夫婦向けの居室を備えた物件も増えてきています。サ高住に入居できる人は、高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)において、60歳以上または60歳未満で要支援・要介護の認定を受けている単身または夫婦の世帯と定められていますが、それ以外にも下記に該当する人の同居が可能となっています。

・配偶者
・60歳以上の親族
・要支援・要介護認定を受けている60歳未満の親族
・特別な理由により都道府県知事が同居させる必要があると認めた人

こうした入居条件を考えると、サ高住は老人ホームよりも夫婦での入居がおこないやすい住宅といえそうですが、サ高住は老人ホームのような介護施設ではなく、法律上はあくまで住宅という位置づけであるため、法的に義務づけられたサービスは安否確認・生活相談の2点のみ。そのため、物件によっては要介護度が高い人や日常的な医療的ケアを必要とする人が入居できなかったり、要介護度が重くなった場合には退去しなければならなかったりするケースもあります。ただし近年では、サ高住でも有料老人ホームとおなじ特定施設入居者生活介護(※)の指定を受け、食事の提供や入浴介助などのサービスをおこなうところも増えてきています。

※特定施設入居者生活介護…介護付き有料老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅などが、介護保険の指定を受けた上で提供する食事や入浴、機能訓練などのサービス。

また、地方自治体などが運営する低所得の高齢者向け住宅、ケアハウス(軽費老人ホーム)のなかにも、夫婦での入居が可能な施設はあります。ケアハウスの入居条件は、基本的に60歳以上の単身者または夫婦どちらかが60歳以上の世帯となっていますが、施設によっては所得の多い人は入居できない場合もあります。なおケアハウスの詳しい入居条件などについては、こちらをご覧ください。

▼参考記事
・【年金だけで老人ホームへ入居することは可能?】特養やケアハウスの実際の月額日は
https://p-kaigo.jp/news/17478.html

夫婦で老人ホームに入居すると家賃はどうなる?

家賃

有料老人ホームやサ高住などに夫婦で入居した際、別々の居室に入居した場合はそれぞれに家賃がかかりますが、夫婦で同じ部屋に入居した場合の家賃は基本的に1部屋分で済みます。ただし2人部屋の家賃は、1人部屋よりも居室が広いことから高めに設定されていることがほとんどです。また住居の維持費や水道光熱費といった管理費については、1人入居の1.5倍~2倍程度の金額を設定している施設が多いようです。

有料老人ホームやサ高住に月々支払う費用については、支払い方式(利用権方式、賃貸借方式など)によっても異なるため、入居前に実際に月々どれくらいの費用がかかるのかを施設側に確認しておくことが重要となります。なお有料老人ホームの場合は、当初1人で入居していて、その後なんらかの事情で同居人が増える場合、追加入居金がかかるケースも多いため注意が必要です。

夫婦で老人ホームに入居するメリット・デメリットは

まず、夫婦で老人ホームに入居する大きなメリットとしては、環境が変わってもパートナーと一緒にいられる安心感があげられます。自立の人同士であれば、お互いがお互いの身元保証人になることで、施設への入居がスムーズにおこなえる点も夫婦入居の長所といえるでしょう。

また夫婦で入居したからといって、どちらか一方が亡くなった場合に退去しなければならないということはなく、通常は食事やケアのサービスを受けながらおなじ施設に住みつづけることが可能となっています(居室は1人用の部屋に移動になる場合があります)。

逆に夫婦入居のデメリットとしては、パートナーと「いつも一緒」にいることによるストレスがあげられます。これは、老人ホームの居室が(たとえ夫婦部屋であっても)ワンルーム程度の広さとなっていることによるもの。老人ホームでは、こうした部屋数の少なさに加え、外出の機会も少なくなるため、夫婦が常に顔を合わせている状態になることも珍しくありません。こうしたことがお互いに苦にならない人であれば問題はありませんが、そうでない場合は個室が確保できる間取りの施設を選ぶなどの工夫が必要となります。また夫婦で要介護度に差がある場合には、要介護度が軽い人が、重い人の介護をすることになり、老老介護で疲れてしまうおそれもあります。しかし、介護付き有料老人ホームなど介護サービスが提供される施設であれば、施設のサービスを上手く利用することで、自宅で生活するよりも介護の負担を軽減できる可能性もあります。

夫婦で一緒に老人ホームに入居できたとしても、そのことが原因で夫婦仲が険悪になってしまっては元も子もありません。夫婦で入居する老人ホームを探す際には、お互いの性格や好みを十分に理解したうえで、お互いが無理なく生活できる施設を選ぶことが、施設への入居後も夫婦で円満に暮らしていくための重要なポイントといえるでしょう。

▼参考資料
・高齢者向け住まいについて 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000048000.pdf

・「終の棲家」どう選ぶ? 種類多く複雑な高齢者施設 日本経済新聞
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO17935850R20C17A6000000?channel=DF280120166594

・夫婦で高齢者ホーム入居「費用は2倍?」「一方が亡くなったら?」 プロが解説 AERA dot.
https://dot.asahi.com/dot/2017102400057.html

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