2018年06月20日

【介護リフォーム】介護保険で9割が助成される制度も…補助を受けられる条件は?

家のリフォーム

高齢者が自宅で生活していく際、転倒などによるケガを予防し、日常生活をおこないやすくするために住宅のリフォームが必要となる場合があります。

特に病気やケガで入院していたり、介護老人保健施設(老健)などでリハビリをおこなったりしていた高齢者が自宅での生活に戻る際には、本人の状態にあわせて、自宅に手すりやスロープをつけるなどの改修をおこなう必要があるケースも多く見られます。こうした介護リフォームについては公的な介護保険による補助制度も設けられていますが、ここでは補助制度の対象となる介護リフォームの内容や、補助を受けるための条件などについて解説していきます。

介護リフォームとは?

介護リフォームとは、高齢者や障がい者など日常生活における介護や支援を必要とする人が、自宅で生活しやすいように住宅の改修をおこなうことを指す言葉です。介護リフォームのおもな目的としては、家の中での移動や外出、お風呂やトイレなどでの動作をおこないやすくすることによって、介護を受ける人に自立した行動を促し、転倒などによるケガを防止することがあげられます。また、介護リフォームには介護者の負担を軽減するという目的もあります。介護を必要とする人ができるだけ自立して日常生活のさまざまな動作をおこなってくれることや、介護者が介助をおこないやすい環境が整備されていることは、介護者の負担軽減につながります。

さらに介護リフォームは、将来を見据えて暮らしやすい環境を整備する意味でおこなわれる場合もあります。たとえば、現在は自力でできている動作であっても、近い将来にサポートが必要となることが予想される場合には、リフォームによって事前に本人が動きやすい環境を整えていくことが重要となります。ただし多くの人がやっているからといって、無計画に必要のない手すりやスロープをつける工事をおこなうことは禁物です。介護リフォームをおこなう際には、本人の状態をしっかりと把握し、必要とされる改修だけをおこなうように心がけましょう。

介護保険では20万円を上限に、リフォーム費用が9割補助される

指さしする女性

公的な介護保険には、高齢者の自立支援を目的とした住宅改修費の補助制度があります。この制度では、高齢者が自宅で生活するために必用な特定のリフォームをおこなった際に、20万円を上限として改修費用の9割(一定以上の所得がある人は8割)が介護保険から支給されます(※)。また、この上限額20万円は1度の工事で使い切る必要はなく、たとえば10万円の工事を2回といったように、上限額内で数回に分けてリフォームをおこなうことも可能です。また利用者が転居した場合や、要介護度が3段階以上重くなったときには、再度20万円までの補助を受けることが可能となります。

※2018年8月から、単身世帯で年間の所得が340万円以上などの「現役並み所得」の人は介護保険の自己負担が3割となるため、介護リフォーム費用についても補助金の割合が7割となります。

なお、介護保険によるリフォームへの補助(住宅改修費給付)を受けるには、下記の3つの要件を満たしている必要があります。

・制度を利用する人が要介護(または要支援)の認定を受けていること。
・工事着工日と工事完了日が、要介護(または要支援)認定の有効期間内であること。
・制度を利用する本人が居住する自宅であること。

たとえば、制度を利用する人が基本的に介護施設に入居していて、たまに自宅へ帰ってくるといったケースの場合は、給付の対象外となる可能性も高いため注意が必要です。

補助の対象となるリフォームは?

介護保険による住宅改修費の補助制度が適用されるには下記の6種類のリフォームとなります。

1.手すりの取付け
廊下やトイレ、浴室、玄関などに、転倒予防や移動・移乗といった動作の補助を目的とした手すりを取りつける工事。

2.段差の解消
居宅内や、玄関から道路といった場所の段差を解消するために、敷居を低くしたり、スロープを設置したりする工事。

3.滑りの防止・移動の円滑化などのための床や通路面の材料の変更
居室を畳からフローリングに変更して車いすで移動しやすくしたり、浴室の滑りやすい床面を滑りにくい素材に変更したりする工事など。

4.引き戸などへの扉の取替え
開き戸を必要に応じて引き戸や折り戸、アコーディオンカーテンなどに付け替える工事。

5.洋式便器などへの便器の取替え
和式便器を洋式便器に取り替える工事(洋式→洋式の取り替えは対象外)。

6.その他上記のリフォームに付帯する工事
手すりの取り付けや床材の変更に伴う壁や床の補強や、トイレ・浴室のリフォームに伴う給排水設備の工事など。

補助金はどのように支払われる?

介護保険制度による介護リフォームの補助を受けるためには、工事前に市区町村の窓口に相談をおこない、住宅改修費の申請をおこなうことが必要となります(ただし、やむを得ない事情がある場合には、工事完了後に申請をおこなうことも可能とされています)。

また同制度を利用した介護リフォーム費の支払い方法は、利用者がいったん工事費を全額支払い、工事完了後に改修費の支給申請をおこなうことで、かかった費用の9割(または8割)が介護保険から支給される償還払い方式となっています。

ただし、市区町村に登録をおこなっている事業者に工事を依頼するなどの条件を満たしていれば、最初から利用者が自己負担分(1割または2割)のみを支払う受領委任払い方式が利用できる場合もあります。受領委任払い方式の利用条件は地域によって異なるため、詳しくは介護保険制度の保険者である市区町村に確認しましょう。

補助制度を利用した介護リフォームの流れ

工具

介護保険による補助制度を利用した介護リフォームの基本的な流れは下記のようになります。

1.要介護(要支援)認定を受ける
まだ認定を受けていない人は、市区町村の窓口で要介護(要支援)認定の申請をおこないます。

2.ケアマネジャー(介護支援専門員)に相談
ケアマネジャーがいない場合は、市区町村の役所の高齢者福祉を扱う窓口に相談をおこないます。

3.市区町村の介護保険を扱う窓口で相談
リフォームの内容について事前に役所の介護保険を扱う窓口(保険年金課など)に相談をおこない、受領委任払いを希望する場合は、条件や登録事業者について確認します。

4.リフォームをおこなう事業者の選択・見積もり依頼
リフォーム業者を選び、見積もりを依頼したうえで工事を決定し、役所への事前申請で必要な書類を事業者から受け取ります。

5.市区町村の窓口で事前申請
工事費の見積もり書や、ケアマネジャーなどが作成する「住宅改修が必要な理由書」、リフォーム後の住宅の状態がわかる書類などを添えて、工事前に役所の介護保険を扱う窓口に住宅改修の申請をおこないます。

6.市区町村(保険者)による承認

7.リフォームの施工・完成

8.住宅改修費の支給申請
工事が完了した後に、工事費の領収書や内訳書を添えて、市区町村の窓口で住宅改修費の支給申請をおこないます。なお、受領委任払いを選択した場合は、この手続きは不要です。

市区町村による独自の補助制度も

介護リフォームについては、市区町村が独自の補助制度を設けているケースも多く見られます。こうした市区町村による補助制度は、介護保険による住宅改修と同時に申請できる場合もあるため、介護リフォームをおこなう際には、ケアマネジャーや市区町村の窓口に確認をおこないましょう。

・地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(平成29年度版) 一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会
http://www.j-reform.com/reform-support/

一方、近年では不要な工事の契約をさせられるなど、高齢者を狙った悪質なリフォーム商法も問題となっています。そのため、リフォーム業者を選ぶ際には、介護保険の制度を十分に理解していて、必要書類の用意などに協力的な事業者を選ぶようにすることが大切です。また工事後のトラブルを避けるためには、事前に工事にかかる費用の総額や内訳をしっかりと確認しておくことが重要となります。

なお介護リフォームの価格は事業者によって異なるため、複数の業者に見積もりを依頼し、十分に比較・検討したうえで発注先を決めることも、適切なリフォームをおこなうためには必要といえるでしょう。

▼参考資料
・介護保険における住宅改修 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/toukatsu/suishin/dl/07.pdf

・福祉用具・住宅改修 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000130771.pdf

・介護保険の住宅改修費について 横浜市
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/kourei/riyousya/shinsei/juukai/

・住宅改修の手引き 松山市
https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/kaigohoken/service/jtks_tebiki.files/01_jtks_honpen3_2.pdf

・高所得高齢者「自己負担3割」対象拡大を検討 厚労省、収入要件下げ 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31104720Z20C18A5EE8000/

介護ぱど運営事務局